新潟大学 古文書・古典籍コレクション データベース

森田文庫解題

森田文庫は、越後国蒲原郡加茂町(現在新潟県加茂市)出身の蘭医・森田千庵(もりたせんあん)のコレクションである。 旭町分館では図書21点24冊及び円印1個を所蔵している。

千庵は寛政10(1798)年10月加茂町に生まれた。幼名を太仲といい、後に徳盛と改めた。 千庵は通称である。森田家は加茂町で代々医業を営んだ家系である。 元々は山吉氏を名乗ったが、景明(慶長13年~寛文2年)の時に母方の森田姓に改めた。

医を業とするようになったのは、景明から2代後の栄盛(承応3年~亨保11年)の時のことであり、 千庵は栄盛から数えて5代目に当たる。

千庵は文政4(1821)年に京都に出て、藤林普山について蘭学と医学を学んだ。文政6年には江戸に出て、 宇田川榛斎と榕庵の宇田川塾に入門している。さらに文政9年から10年にかけて長崎へも遊学している。 千庵は「幕末の越後におけるオランダ語解読の第一人者であった。」 (新潟県大百科事典下巻 新潟日報事業社発行、蒲原宏氏執筆「森田千庵」の項目による)

千庵が購入したり筆写したりした医書は現在では県内・外の各地に分散している。旭町分館が所蔵しているのは、 主として産科関係の筆写本・稿本及びオランダ語の辞書類であるが、その中には千庵自身による写本・稿本が多数 含まれる。

今回は所蔵資料の中から、オランダ語の辞書等4点を除いた、図書17点20冊及び円印1個(合計750コマ) について画像データベース化を行った。